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土壌分析について

土壌分析の意義

1.土壌分析の意味と限界

土壌分析は土壌の化学性を知るためのもので、それ以上でもそれ以下でもないのです。
土壌分析の意味は、作物つくりの一番のポイントである土壌の物理性、生物性、化学性のなかの化学性に的を絞って、どこに課題があるかを絞り込んでいくことにあります。

作物の様子がおかしい、収量・品質が上がらない、といった課題に直面したとき、その原因が何かについて、突き止めなければなりません。
原因は土壌中の養分の過不足の問題なのか、土壌病原菌が原因なのか、それとも物理性の悪化が問題なのか、見ているだけではわかりません。
そこで、さまざま想定される原因を、一つ一つつぶしていき、原因を絞り込んでいきます。
その絞り込みの一つが土壌分析なのです。

化学性に問題がなければ、物理性か生物性に問題があると絞り込むことができます。

土壌分析をやれば何でもわかるというわけにはいきません。
しかし、やらなければ問題の解決の糸口も見出せません。
土壌分析で知り得ること、そしてその限界をきちっと見極めることが大切なのです。

また、土壌分析とは、作物の生育のよしあしを土の肥料分と照らし合わせた統計学といえます。
目視による判断と、そのときに土にどのくらいの肥料分があったのかということを統計的に出したのが土壌分析で、そのデータに対応して、適正範囲で肥料を施用するように勧めた数値が施肥設計ということになります。


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2.有機栽培の土、化成栽培の土

有機栽培に取り組む以上、堆肥や有機質肥料の施用が基本となります。
土壌の物理性・生物性を整えるうえで堆肥の投入は欠かせません。
投入すると、だんだんにほ場の腐植がふえ、団粒構造が発達するようになります。
気相が増加して、土の比重がより軽くなってきます。

土壌の物理性は作物栽培の土台となる大切な要素ですので、気相が増加することは、物理性の改善の指標としても好ましいことです。
ところが、このような土の大きな変化に土壌分析法が対応していないのです。

3.「重量法」と「体積法」

土壌分析法には「重量法」と「体積法」という2つの方法があります。

「重量法」とは、乾燥させた田畑の土(乾土)100gに何mgの肥料があるか
ということを計測する方法です。
土の採取方法としては、ある地点での土を採取して土をふるいにかけ、水を飛ばして乾燥させた土100g当たりの肥料成分を測ることになります。

これに対して、「体積法」は、田畑の土100ccに何mgの肥料があるか、という計測方法です。土の採取は、一定の体積の土を採取して、その土に含まれている肥料成分を測ります。

「重量法」は土を分析にかける前にふるいにかけるため、ふるう前とふるった後では気相が大きく変化してしまいます。
この「重量法」でも、土の採取の段階で土の気相を含んだ比重を測れば正確な数値が期待できますが、実際に土の比重が測られることはほとんどありません。

現在多くの農家で行なわれている土壌分析の方法は、「重量法」です。重量と体積、そんなに大きな違いはないと思われるかもしれないが、そうではないのです。


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4.有機栽培には「体積法」

実際の土の比重というのは、
土本来の重さと腐植の重さ、水の重さ、それに気相によって決まります。

これを「重量法」のように、土をふるってしまっては、気相の部分は分からなくなってしまいます。
わかるのは土と有機物を足した状態での比重だけということになります。
すると、気相が増えれば増えるほど土は軽くなるので、「重量法」による分析値はどんどんずれていくことになります。
土が腐植を含み、団粒構造が発達して軽くなるほど、一定重量の土を集めるのに多くの体積の土を集めることになります。
体積が増えれば増えるほど肥料はたくさん含まれているので、必然的に土壌分析の値は高くなります。
分析値の高いデータを元に施肥設計をしたのでは、肥料の施用量は少なくなってしまいます。
ときには、分析値が高く出て、それこそ養分過剰という判断になってしまうこともあります。

つまり、
有機栽培に近づけば近づくほど、有機栽培を続ければ続けるほど「重量法」による分析値は大きくなる
のです。
このようなことを考えると有機栽培に適した土壌分析法は、「重量法」ではなく「体積法」ということになります。

5.根の張っている空間を丸ごととらえたい

根は、根の周りにどのくらいの濃度の肥料があるかで、過剰症が出たり欠乏症が出たりします。
根が触れているのは、土の重量ではないのです。
根が触れている土の体積に対して、どのくらいの肥料があるのかが重要
なのです。
これは土壌が濡れている場合でも同じです。
なぜなら、一定体積中の肥料の量は土壌の乾湿によって変化することはないからです。
根の張っている空間を丸ごととらえる土壌分析が、とくに有機栽培では必要であり、その方法は「重量法」ではなく、「体積法」なのです。
農業が土壌中に腐植の少ない化学肥料中心の栽培から、堆肥や有機質肥料を使って腐植が多くなる環境保全型に移行しつつあるいま、分析方法も「重量法」から「体積法」へ移行しなければならないのです。



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