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施肥設計について

施肥設計の方法

1.CEC(保肥力)に留意しながら

土壌分析で分析データを得られたら、次はそれをどのように理解し、どのように施肥設計に生かしていくかということになります。

基本的にはまず不足成分を補うべきですが、それにはいくつかの留意点があります。
その点を間違えると、土壌成分の数値は合っていても、作物ができなかったということになりかねません。
ここではこのようなことが起こる典型的な例をCECとの関係で紹介します。
CECの値が変化すると、ある成分の数値が同じなのにも関わらず、下限値(欠乏症の症状が出始める数値)になったり、上限値(過剰症の症状が出始める数値)になったりします。
つまり土壌の保肥力=CEC(一般的に地力、肥沃度という言葉を使っている)が違えば土壌養分の適正値が全く変わってしまいます。
ですからCECの項目を抜いてしまうと、設計が台無しになってしまう恐れがあるのです。
CECは一般的に粘土質土壌または堆肥等の腐植分が多い土壌だと数値が高くなり、砂地のような土壌では低くなります。

そしてCECの値が大きくなると下限値と上限値の差(保肥量)は大きくなり、作物が長期間にわたって養分を吸収できます。
一方、CEC値が小さくなるとその差(保肥量)は小さくなり、すぐに追肥等で補う必要が出てきます。
またその成分が石灰だった場合にはpHに影響しますので、数値が同じだったとしてもpHが変わり、対象作物の適正値から外れる場合が出てきます。

このことは石灰だけでなく、アンモニア態窒素や苦土、カリ等にも当てはまりますので留意してください。

2.肥料の特徴をつかんで施肥設計

施肥設計は簡単にいえば不足成分を補給するだけなのですが、忘れてはならないのは
それぞれの肥料にはそれぞれの特徴がある
ということです。

石灰を例にとると、
生石灰(CaO)は強アルカリであり、即効的に効くという特徴を持っています。
これは少量でpHを矯正する力はありますが、一方で土壌団粒を破壊し土壌を固くし、土壌微生物も殺してしまいます。

消石灰(Ca(OH)2)は生石灰ほど酸性を中和しませんが、土壌団粒を極端に崩壊させたり土壌の微生物を殺してしまうようなことはありません。

炭酸カルシウム(CaCO3)はこの中では反応速度が一番遅いのですが、どちらかというと土壌が酸性側で溶けます。
動物性の石灰(カキ殻やホタテ貝)は炭酸カルシウムがコンキオリンという硬質蛋白で覆われているので、加熱処理等をしないと溶け出しません。
しかし他の石灰質肥料と比べると根を痛めたり、土壌微生物を痛める可能性が一番少なく、微量要素も豊富に含んでいるという利点があります。

苦土は石灰と同じように何種類かの肥料があり、性質も違います。
硫酸苦土(MgSO4)は即効的に効きますが、使いすぎた場合には硫化水素発生の原因となり、水稲であれば根を痛め、収量や食味を落としてしまいます。

苦土石灰(MgCO3/CaCO3)はすでに石灰が十分にあった場合、石灰が過剰となってpHが上がりすぎるため、いっそう苦土が効かなくなってしまいます。

水酸性苦土(Mg(OH)2)はpHが10以上の強アルカリ資材なので、もし土壌のpHがすでに7近くだった場合、pHが高くなりすぎて微量要素の吸収障害を起こしてしまう場合があり、注意が必要です。

石灰や苦土の例でも分かるように、その他の成分を含む肥料に関してもさまざまな特徴があることはいうまでもありません。
このように実際の施肥設計においては不足成分の対象となる肥料の性質をよくつかんでいなければ施肥設計を立てることができません。

3.過剰障害に対する処方箋

化成栽培では、ハウスをはじめとして、養分の過剰施肥、過剰蓄積が問題となっていますが、有機栽培でも同じような問題がおきはじめています。
土壌の保肥力以上に肥料成分が入りすぎている田畑が少なからずあります。
とくに有機栽培の場合、養分過剰を招く要因は次の3つです。

1つは、自分の使っている資材の成分を知らずに使っていること。
2つは、カリの多い堆肥を多投していること。

堆肥を入れて土は軟らかくなったのだが、カリも過剰になってしまったということがよくあります。
3つは、「有機に過剰症はない」という思い込みから養分過剰を招いてしまうこと。
たとえば米ヌカを使ったボカシ肥なら過剰症はないだろうと考えて施用するのだが、土にリン酸が多いような場合だと、リン酸過剰になるのに時間はかかりません。

各種養分の過剰症に対する解決策については、小祝政明の著書「有機栽培の基礎と実際」のP144~または、P216~を参照ください。

土壌pHの高低に関する対処法については、同「有機栽培の基礎と実際」のP147~を参照ください。

作物別の設計事例については小祝の著書「有機栽培の基礎と実際」をご参照ください。

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